Generative Polis — AIとつくる合意形成、Polis のその先へ
生成AIが人々の意思決定や価値形成にも影響を与え始めるなかで、AIをどのように民主主義の基盤に組み込むべきかが問われている。従来のAIアラインメントは、人間があらかじめ定めた価値や規範にAIを従わせる一方向的な制御を中心としてきた。しかし、多様な価値観が共存し、社会的規範が対話を通じて変化し続ける民主社会においては、単一の「正解」をAIに実装するだけでは不十分である。むしろ必要なのは、人間とAIが相互に影響を与えながら、共有可能な意味や規範を共に形成していくための枠組みである。
本セッションでは、人工生命国際研究機構(Artificial Life Institute)が提案する「Symbiotic Alignment」を出発点に、AI時代の民主的対話における共通基盤の発見について考える。Symbiotic Alignmentは、AIを人間の価値に一方的に従わせる対象としてではなく、人間とともに社会的意味や共有記号を形成する共進化的な存在として捉える[1]。この考え方は、谷口が提唱する集合的予測符号化仮説(Collective Predictive Coding; CPC)[2]を背景に、複数の主体が相互作用を通じて共通の記号や理解を形成する過程として、人間–AI関係を捉えるものである。
この視点は、デジタル民主主義における大規模熟議にも重要な示唆を持つ。Polis[3]のようなプラットフォームは、参加者の投票パターンから意見グループと共通項を可視化し、多様な立場のあいだにある common ground を見出す可能性を示してきた。Symbiotic Alignmentの観点からは、こうした共通基盤は単なる多数派の意見ではなく、異なる立場の人々が共存しながら対話を続けるための共有可能な価値や論点として理解される。さらに、Audrey TangらがPluralityの文脈で重視してきた “uncommon ground” は、異なる立場の人々が実は共有しているにもかかわらず、互いに気づいていない価値や論点を指す。これは、分極化を超えて、多様な立場が共存しながら共通基盤を見出すための重要な手がかりとなる。
本セッションを通して、Symbiotic Alignmentの理論的視点と、Polis型の大規模熟議を生成モデルとして捉える試みを手がかりに、多様な立場が共存しながら共通基盤を見出すための可能性を議論したい。
セッションの時間・会場・登壇者は変更される場合があります。
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